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Posted by みやchan運営事務局 at

2010年10月01日

児湯の競り市

昨日(9月30日)は、3月以来、6ヶ月ぶりの子牛のセリでした。

購買者の方は来てくれるのかな?
1年以上経った子牛たちは、大きいだろうな・・・
なんと言っても セリ値はどうだろう?

夫とふたりで出かけてみると。。。

競り市入り口での車の消毒・・・これはいつもの事ですが。
牛つなぎ場は ロープで仕切られ駐車場から直接入れないようになっていました。
人も消毒が済んでから入場です。(私たちは消毒テントの存在がわからず戸惑いました)
牛の搬入口も、上からミストが・・・あれも消毒でしょうか
踏み込み消毒槽も今まで以上に増えていました。
先ず徹底した消毒に驚きました。

次に、たくさんの人、人、人・・・オドロキ
今回のセリを注目している人がどれほど多いかということですね。
そして、牛を失った農家がどれほど多いか・・・
セリ名簿を買いに事務所へ(無料配布の名簿をいただく)
 

「再開 再会」 待ち望んだこの日がやって来て 本当に良かった
でも、命を懸けたのは、ワクチン接種をした牛や豚たちだと思うのですが・・・

名簿を片手に たくさんの方達に混じって牛の下見・・・まるで今日牛を買うかのように。
夫ともはぐれてる・・・(捜さないけれど)
いっぱい子牛を見て、すぐにでも牛が飼いたくなってしまいました。

セリが始まりました。
セリの会場へ・・・満員で入れません。これだけの賑わいは私には初めての経験でした。
会場を映す外のモニターへ・・・やはり人垣が。
セリ値は、高そう・・・いや、すごく高いオドロキ
始まって間もなく百万円を越す牛が現れました。
その後は、247万円超の牛も・・・電光掲示板の文字がチカチカと動き続けて、会場はザワザワ。
その牛は 山形県の畜産業者の方が競り落として 高鍋農高にプレゼントされたのだそうです。
県外の方たちの応援がとても心強かったです。
その後も百万円を越す牛がありました。やはり、忠富士×安平は高い。

今度は買う側の私たち。セリ値が高いと・・・ゆっくり始めるしかなさそうです。

  


Posted by てんとうむし at 23:10Comments(8)うし

2010年09月24日

成牛市

3週間ぶり更新です。畑に出る事は 夫と息子に任せて、ひたすら孫のお守りや洗濯で毎日が過ぎていました。。。
夫と母と私の3人暮らしだったのが、ただいま7人家族となっています。 孫の世話で腰痛になりましたがいつも笑い声が絶えず、 家族が多いのはよい事だと深夜の洗濯をしながらしみじみ思っています。
そして新聞もパソコンもテレビも見る暇がなくなって、あらためて子育ての大変さを思い出しました。

しかし昨日(22日)は かねてからの計画通り 夫とふたりで高千穂の成牛市に行ってきました。


再開するための導入なら、子牛の競りに行くのが普通かもしれませんが。。。

市場に着いたら さっそく成牛名簿を100円で買って、血統をチェック・・・
我が家の、みみこ ふゆこに似た牛はいないかな?
レーンに繋がれた牛たちの側には、飼い主の方が ブラッシングしたり、牛のツメを磨いたり。
そんな農家の方たちが幸せそうに見えてくる。。。

成牛だけに、10歳以上のうしが多い。それぞれの農家で それぞれの養われ方をしていたのだろう・・・
体形も体格も、みんな違って見えてくる。

目がみみこに似ている牛がいた!!  名簿を見ると・・・「福桜」「菊安」!(種牛の名前です)
父親と母牛の父親が一緒でした。この牛は、誰に買われるのかな?

競り市で 先輩の牛飼いさんに「道に迷わんで来れたね~?」と声をかけられた。
高千穂でばったり会うとは・・・
お互いワクチン接種で牛を失ったので
「今日は見るだけですね~」「やはり11月からでしょうかね」と話す。

いよいよ競りが始まった。
牛の体格や血統を見比べながら、競りを見学。いまだに素人のようなてんとうむし夫婦ですが・・・
目がみみこに似ていた牛が 競りに掛けられるのを見届けてから、市場を後にしました。

帰りには、高千穂神社で「いい牛に出会えますように」と祈って、それから高千穂峡にも行きました。
真名井の滝をバシバシ写真に収めて、夫と昼食。ふたりで出かける事は 牛のいる生活をしている時はなかったねーと言いながら、牛丼とマス寿司を注文しました。

失ったものは帰ってこないと・・・さみしいけれど、吹っ切れた(たぶんアセアセ)一日でした。


  






  


Posted by てんとうむし at 01:44Comments(10)うし

2010年09月01日

県民フォーラム

今日(8月31日)は、口蹄疫の被害を受けた畜産農家と 知事や県の関係者の方々との意見交換会が川南町であり、我が家も小規模経営ながら参加して、勉強させていただきました。

今後の復興対策についての説明のあとは、時間ぎりぎりまでたくさんの意見、疑問、質問が出され、知事さんや職員の方たちが丁寧に答えていらっしゃいました。

報道機関も来ていたので、きっと明日の新聞には詳しい記事が載るでしょう。
感染ルートの解明 補償金の課税 埋却地の管理 県や国の対応等など・・・今まで自分が不安に感じていたり、憤っていたことを他の農家さんも同じように思っていたのだと分かりました。

最後の方では、児湯地区の畜産の再生、復興についての明るい意見も出され、出席して良かったと 元気をもらって帰りました。
終息宣言は出ても、本当の終息はまだまだこれから(そんな意見も出てました)です。  


Posted by てんとうむし at 01:07Comments(2)うし

2010年07月30日

共同埋却地へ

今日(29日)は、私たちの町で 口蹄疫の蔓延を防ぐため殺処分された家畜のお祓いがありました。
町内の牛豚の畜産農家と山羊やイノシシを飼っていらした方が集合。私も夫と参加しました。
名簿では81戸(事業所)
あいにくの雨。皆傘を持ち 長靴で・・・花束を抱えていらっしゃる方も多い。

外出も 買い物も お互いの訪問も控えてたので、皆さんそれぞれ知った顔をみて話が弾んでいるようでした。

先ず、地元の比木神社で宮司さんの祝詞(のりと)
独特のイントネーションにのった言葉を聞きながら、近隣の町で感染が広がる中 ほんの数件で収まったのは 神様のお蔭かな?・・・と、天井に描かれた花鳥の図を見ながら思った。(でも、みんなワクチン接種になりましたが)

「木城の町にて 牛豚を飼い、よく育て、飼育の技を磨き、暑いにつけ 寒いにつけ 牛豚を思い・・・
嬉しい時も 悲しい時も 牛豚と・・・」祝詞を聞いているうちに、落涙。
しかしここは、あんまり泣く場面ではなさそうだ。。。 前の若者は椅子から転げ落ちそうに居眠りしているし。

次に、マイクロバスや自家用車で共同埋却地へ。名簿では8箇所になっている。
我が家の牛たちが眠る土地へ。。。
この道を通り、この景色を見たのか。

埋却地は広くて、広くて、静かでした。
4~5m幅のかまぼこ型に土が盛られ、それが 縦に何列も 整然と並んでいます。
この地下に居るのか・・・

「うちの牛は ここじゃが」 「真ん中あたりじゃ」 場所を指差したり、花束をそれぞれの列に供える方がいたり。
(???なんで、分かるのだろう? こんなに広いのに・・・だれか知っているのかな?)

てんとうむしアンテナで、埋却にずっとたずさわった方を発見。
「あの、14日の牛はどこの列でしょうか?」

その方は、覚えていてくださった。 我が家の牛だけでなく、他の農家の牛たちの事も。
「14日は、あの列ですよ。 お名前は? ああ、めずらしい名前だから覚えてます。 花束をくれやったでしょ? 中ほどの、少し向こうです」

「花束には、なんか書いてあったですか」と聞かれたので
「いいえ、花には数珠をつけました」と答えた。
「ああ、なんか書いてあったのは〇〇さんか」(それぞれの農家に、それぞれの思いがあるんだな)

「花束、投げ込んでおきましたよ」(よかった、ちゃんと届いたんだ)

この方たちが埋却作業をしてくださったのなら、きっと丁寧に牛豚たちを扱ってくれたことでしょう。
埋却や 消毒にかかわったたくさんの方、ありがとうございます。

この土地の一年後、二年後・・・心休まる場所になるようにと思いました。








   


Posted by てんとうむし at 00:19Comments(2)うし

2010年07月28日

一斉消毒

昨日久しぶりに会った 近所の牛飼いさんから
「明日は 3回目の一斉消毒だね」と言われて
「ええぇ~オドロキ うちは2回目が終わったところよ」と言ったら
「ええぇ~」と逆に驚かれた・・・

「だ、大丈夫よ、8月4日までにすればいいんだからアセアセ

どうも、1週間ほど孫のお守りをしていたら浦島太郎になったようです。

消毒は口蹄疫発生以来、ずっと私の担当です。 夫は薬品の希釈倍数を一桁間違えて以来、消石灰撒布係り。
2回目の消毒の時、噴霧器のノズルに薬品が詰まって、噴霧と言うより まるでセミのおしっこ状態・・・
消毒と言うには程遠かった。

「壊れたって事でしょ。 町の産業課に頼んだ方がいいよ」と言われました。

今日は私たちの町の畜舎の一斉消毒の日(木城町にも牛豚は1頭もいません)
小さな牛小屋だから 自分でしないと申し訳ないと思っていたが、やはり町にお願いしました。

飛び入りの我が家に 時間を割いて来て頂いた

動墳の威力はすごい!

お願いして良かったニコニコ
職員の皆さん、ご苦労様。そして、ありがとうございました。  


Posted by てんとうむし at 21:42Comments(0)うし

2010年07月28日

解除の日

終息宣言はまだだし、非常事態と移動制限が解除・・・と言っても牛は居ないし。
「べつにぃ・・・」と思っていたら、懐かしいご近所さんが二人でやって来ましたニコニコ
ご近所なのに、3ヶ月以上行き来がありませんでした。。。
ひとりは繁殖、もうひとりは肥育農家です。
電話はしてたけど、こうやって久しぶりに顔をあわせると「解除の日だ~」と実感がわきます。

今までの事やこれからの事で話題が次々と・・・
山のイノシシは元気なのか?
補償金に所得税はかかるのか?
牛の導入の時、補助はあるのか?
判らない事ばかりです。。。

今度、どんな牛を飼うか?  とちょっと明るい話も。
私たち夫婦は、牛のことは勉強不足・・・専業の牛飼いさんは、私たちの大先生です。
どこの牛がおすすめなのか、勉強させてもらわないと。
「高千穂の牛は?」と聞いてみたら「奥高?」と言われた。
すごい! うちの牛の3代前のルーツを知っているオドロキ
そして、我が家の牛の3代祖をスラスラと言ってくれたオドロキ
私は、血統書を見ないと思い出さないのに。


「もちろん無理だけど やっぱり、うちの牛に戻ってほしい」と言うと
「長年住んだ所に帰るわ」と慰められた。

もうすぐ8月のお盆。いただいたお見舞金から、牛たちの供養にと思い蓮華灯を買いました。

夜になってスイッチを入れると・・・


牛小屋の雨どいも修理中です
  


Posted by てんとうむし at 02:17Comments(6)うし

2010年07月28日

お礼

本日(27日)午前零時をもって、移動制限と非常事態宣言が解除になりました。
口蹄疫発生以来、励ましのコメントや、お手紙 お見舞いの品々などで、てんとうむし農園を支えていただき 本当にありがとうございました。
ブログの内容も暗くなったこの数ヶ月間、いただいたコメントで 何度も何度も励まされました。
重ねて感謝申し上げます。
皆様のお気持ちを忘れる事のないよう、これまでにいただいた全ての品々を写真に収めております。

外出を控えて引きこもっていたので、食料品など大助かりでした


これから良い事があるように・・・

きっと当農園の再起を祈って下さったのでは・・・?
手彫りの篆刻

友人 知人 野菜を食べていただいたお客さんからのお見舞い・・・
そして町からは


まだまだ有りますが、写真にお名前を入れてしまったので、記事に載せるのを控えさせていただきます。
今まで出会った全ての方と、ブログで出会った皆様に感謝です。

  


Posted by てんとうむし at 00:31Comments(0)うし

2010年07月18日

聞き取り調査?

先週のこと、孫のお守りでバタバタしていると、電話がなりました。
県の畜産担当の所から「種雄牛について、どう思うか?」と質問。「その他に望む事は?」と。
全農家対象なのか、サンプル調査なのか・・・判らないけれど。

夫は、あいにくお昼寝中・・・私が答えても良いそうだ。

同じように被災した農家でも、立場や経営形態で 思いは様々のはず。だれもが、移動制限解除を待ち望んでいるし 県外の畜産農家さんもきびしい考えを持っているかも。。。

とっさに模範解答を、頭の中で作ろうとした・・・けど、やめた。
個人的な考えを言って良いそうだ。
少数意見かもしれないけれど、言ってみた。
「もう、これ以上殺さないでほしい」 「何十年も掛かったかも知れない努力を消さないでほしい」
「種牛は多い方が良い」「うちの牛が殺処分されたからと言って、種雄牛が生き残っても不公平とは思わない」・・・あんまり自分の気持ちの通りにしゃべったら声が震えてきた。

色んな考えがあるでしょう。みんな生活が掛かっています。複合経営で小規模繁殖農家の私の意見は、きっと甘いと言われそうですが。

昼寝中と思っていた夫が電話の傍にいた。

ワクチン接種って、なんで10キロ圏内なのだろう・・・10キロの根拠は?
20キロ圏内は 家畜の空白地帯の予定だったな・・・断念されたけど。
なぜ20キロ?
次々と出てくる疑問に、国や県はいつか答えてくれるのかな?


一斉消毒後の新太のへや。

  


Posted by てんとうむし at 02:11Comments(7)うし

2010年07月05日

フン落し

友人が飼っていた ペットのような豚1頭。 ワクチン接種をしていたので、先月29日がお別れの日だったそうです・・・
広い所で自由に育った豚くん(あれ? 女の子かも)板の囲いもはね飛ばし、逃げて逃げて作業の皆さんを驚かせたらしい。 「まるで、イノシシだ」と。
「簡単に殺されるより いいかな・・・」と飼い主さんが言ってましたが。。。
なんとも、言葉にならない。  居なくなってしまったのだ

7月2日 役場から連絡があり、消毒資材を受取りに行く。
消石灰と炭酸ソーダとブルーシート


今までだって 掃除や消毒はしてるけど、今回はあとひと踏ん張りの一斉消毒!


消毒手順が指示された紙。「壁や床、柱に付着した畜ふんなどを可能な限り取り除く」と書いてある。
壁のフン・・・前に角スコでガリガリ削ってあるので、今度はセメントを塗る時のコテで削ってみた。
4パーセント炭酸ソーダで湿らせて、ガリガリと。

みみこの部屋 新太の部屋 ふゆこの部屋・・・立ったりしゃがんだりして、削る。
取れる取れる、壁のフン。
みんなが此処に居た証明が一緒に削られる。懐かしいフンとおしっこと牛の匂い。。。

この牛小屋を建てた時の事を思い出す。夫も私も大工さんも若かった。全部の部屋が満杯になったら・・・とウキウキして、牛小屋を作った。
子牛のせりは宝くじ以上の夢と希望を与えてくれた。(実際は、色々な支払いで、あっという間に消えたけど)
「可能な限り取り除く・・・」まだまだ削れば出てきそう。。。
第1回の消毒は15日までだそうです。
久しぶりに、身体に牛の匂いが染み付いていました。  


Posted by てんとうむし at 22:59Comments(6)うし

2010年06月20日

不在

今日(19日)の新聞に、発生自治体ごとの状況が表であらわされていた。
ワクチン接種をした牛、豚さんがまだまだたくさん残っている。。。 これから、私と同じような思いをする農家さんが、まだまだたくさんいらっしゃるのか・・・

守るべきものがいなくなり、消毒作業にも力が入らない。  けれど 今、白装束の獣医さんや、畜産関係の方、役場の方たちが大変な思いで、あの作業を遂行されていると思うと、気力を萎えさせるような泣き言は言えません。

やっぱり 消毒を続けようと、牛小屋にクレンテを撒布。
ふゆこの部屋・・・


新太の部屋・・・


みみこの部屋・・・


もう、誰もいません。
「不在」を受け入れられない・・・あっ、これも泣き言か?

牛小屋から、畑を見る


みみこ ふゆこ 新太、いつも畑で働く私たちをこんな風に見ていたんだね。
あっ、また泣き言か?

もうこれ以上悲しむ農家を出さないように 消毒を頑張らないと・・・

以前読んだあの本・・・「いのちの初夜」(北条民夫著) あの本を読んだ時と同じやり場のない感情が、またもやもやと溢れてきた。 牛は牛らしく、人は人らしく、生きたい!!!  


Posted by てんとうむし at 01:57Comments(8)うし

2010年06月15日

牛のいる生活 その6

牛のいる生活も 今日(14日)で最後です。
朝、白装束の方2名 泣きそうな顔をして健康チェックに来られました。
「もうすぐ、牛を積みに来ます」と。

仏壇にお茶、お水、必ず帰って来ますようにと手を合わせる。

間もなく、白装束の方1名到着。
開口一番「牛は大丈夫だから。先にトランキライザーを打つから、苦しんだり 暴れたりしないからね」と。
よく見れば、私たちのよーく知ってる人、先輩の牛飼いさん。以前「だれだって、自分で幕は引きたくないさ」と言った人でした。
「あれ~ いつからやってるんですか?」(口蹄疫を終息させる 強い思いがなければ こんなつらい仕事できないでしょう)
「え~、どのくらいかな・・・」(と考えている)
「考えんといかんぐらい前から?!」
「そうよ、もう仕事がないし・・」(今は牛は居ないけれど、やはり畜産関係の仕事ですからね)

「牛は、バカじゃないから、もう判っているよ」とも・・・(それは、私たちも判っています)

しばらく待っていると、消毒車とトラックの本隊が来る。
白い服やら、作業服やら5名ほど。

名前は判らなかったけれど、やはり牛飼いさんがいらっしゃいました。(明日が 自分の牛の予定日なのだとか)
その方が「あんたの所は頭数が少ないから大して辛くないじゃろ」と言われて悔しい思いをしたと言ってました。
その場に居た全員で「なんてひどい! 牛を手放す悔しさ、辛さは頭数とは関係ないのに」 「やっぱり、牛を飼ったもんじゃないと判らんのじゃろ」と口々に言いました。

トラックに みみこ ふゆこ 新太を乗せる。もちろん簡単には乗らない。みんな判っているのだから。

最期を見届けるのが畜主の務め。夫は、トラックの後を付いて行くつもりでしたが、その場に居た全員が「来なくていい」と言う。
花束を白い服の方に託す


気丈な母が泣いている。

夜、19年分の血統書、受精カード 出生届けを部屋にならべてみる。
19年で8頭の母牛と出会った。みみことふゆこは姉妹。ふたりとも我が家で産まれて育った。
その母牛の はなこも我が家で産まれた。はなこの母牛 第5はつひめが我が家にやって来たのは平成7年。 おおきな おおきな牛だった。大きな口、のんびりした性格、ひとめで気に入った。
いづれ別れは来るけれど、こうやって命をつないできた。。。
他にも 大好きな牛がいたけれど、高齢出産だったり、あるいは 女の子が産まれなかったりして後継牛を残せなかった。

空っぽの牛小屋。無念。
夫はもう牛は飼いたくないと言っている・・・
私は、みみこと ふゆこと 新太のために またやりたいと思うけれど・・・

19年間の牛のいる生活が とても とても幸せだったと思う。  


Posted by てんとうむし at 02:42Comments(22)うし

2010年06月11日

牛のいる生活 その5

食酢と竹酢液で、牛の体や青草、牛床の消毒。  消石灰で私道の消毒。 ソーダでマットの消毒。
今朝は噴霧器で 運動場にも竹酢液を撒いていたら、みみこが出てきてじっと私を見ていました。
みみこと目が合ったので、微笑んだつもり・・・ 

昨日から 私たちの町でもワクチン接種した牛さん 豚さんに対して始まりました。
当然 事前に説明とか、あるのかな?  と思っていましたが・・・ない!
役場に電話をすればいいのでしょうが、怖くて電話ができません。

先ず ご近所の牛農家さんに電話をして色々教えてもらいました。
「いよいよ、ですね・・・」
「それまで、可愛がろうね」

ご近所さんに勇気をもらったので、ようやく役場に電話。
皆さん初めての事なので、一日にどれだけ進むのか判らなかったけれど、二日経ったので少し予測できるようになったとの事。用地確保や、お天気を見ながら日が近づいたら連絡があるそうです。

〇〇さんは、昨日だったらしい。 △△さんは今日。
先に済まされた方たちが、手伝いに来てくださるそうです。(こんな思いをした後で、まだ引き続き作業を手伝ってくださるとは。。。)
その話を聞いて、また たくさんの牛農家さん、豚農家さんからも勇気をもらいました。


19年・・・牛たちと暮らした日々があります。


  


Posted by てんとうむし at 23:03Comments(9)うし

2010年05月28日

ブリューゲルの絵

野菜の出荷と販売、配達を中止してから2週間が経ちます。
車での移動で、口蹄疫のウイルスを運んだり、もって帰ったりしないためです。

畑では、ソラマメ グリンピース スナックエンドウ ルッコラ ほうれんそう・・・等が収穫時期を逸して 硬くなったり トウ立ちしたり。

野菜による収入はストップ。。。 牛と豚の畜産農家さんと同じ状況です。

けれど この辛い状況の中、ブログのコメントで、また ファックスやハガキ、電話でたくさんの方から励ましの言葉をいただきました。  本当にありがとうございます!!!
「私たちは独りじゃないんだ」そう思って毎日を過ごす事が出来ました。

『野菜の配達が無理なら、取りに行くよ』 『野菜 待ってるから・・・』 そんな言葉もかけてもらい
ただもう、感謝 感謝・・・です。
「もう少ししたら、また野菜もって行きます!」そう答えました。

でも、その前に、考えたくもない事が。
これが、現実。 間もなく我が家にも訪れること。

強い風の吹いた日、近所で養豚農家さんの・・・。(感染はしていなくても、自主的に始めたそうです)豚さんの声がずっと聞こえました。次の日も。
肥育農家さんも・・・。

役場から来られて 土地の確認や、隣接地の場合の同意の件 穴の掘り方 色々聞かされました。
夫は田んぼに行ってたので 私ひとりでした。
「もう、吐きそう 倒れそう」と思いながら聞きました。
聞かなければならないこと、知らなければならないことです。

今、カラスがいないでしょ?

あ、そう言えばいませんね

みんな、川南に行ってるようです。

(覚悟せよ・・・ということか?)

ゆうべ、久しぶりにブリューゲルの絵をみました。と言っても画集なんて持ってませんが。
我が家の本棚の「野間 宏集」の巻頭に『狂女(悪女)フリート』と言うタイトルの絵が載っているのです。

「絵は 自分が感じたものをそのまま受け入れればいいっちゃが」と長女や次女が言ってたので、研究者のような分析はできなくても、絵画に無知な私でも 何かを感じていいかもしれない。

ブリューゲルの絵を見るたび(ああ・・・)苦しく哀しくなる。
フリートは狂ってなんかいない。 狂った世界で懸命に普通に生きようとしているように見える。
でも、赤いうねりに飲み込まれるのも時間の問題かも。
フリートは牛かもしれない。私かもしれない。
私は、奇怪な生き物かもしれない。


牛たちの顔がまともに見れません。  


Posted by てんとうむし at 03:20Comments(10)うし

2010年05月19日

牛のいる生活 4

ワクチンの存在は知っていましたが、軽々しく口にできないと思っていました。
半径10キロ。
そうであれば、我が家の牛たちも対象です。


混乱していて、記事も書けません。  


Posted by てんとうむし at 23:45Comments(18)うし

2010年05月15日

牛のいる生活 その3

先日、5日ぶりに食料品の買出しに行きました。。。
5日ぶりの外出・・・と言う事です。

ボランティァで行っていた絵本の読み聞かせも、お話会も、通い始めたヨガ教室もすでに中止してたので、本当に久しぶりって気分でした。

けれど、外出すれば自分がウィルスを拾ってくるのでは・・・と、買い物中は常に不安。
ビクビクしながら食料品をかごに入れ、気晴らしにもならず帰ってきました。

朝に夕に、じょうろを振り回してあちこちに酢や竹酢液を撒きながら、噴霧器ぐらいは買おうかと思うのですが、その為にもまた外出の必要があります。

運動場に牛を出したらウィルスにさらされて危険なのか?それとも紫外線にあたって殺菌効果があるのか?

見えない敵に、すっかり疲れてしまいます。


「風が吹くとき」(レイモンド・ブリッグズ作/小林忠夫訳 篠崎書林)

小さな田舎町にすんでいる、すでに定年を迎えた夫婦。静かで穏やかな毎日が、食事中の突然のラジオ放送から変ってしまいます。「これから戦争なので、核シェルターに3日間避難せよ」
そこで夫婦はドアを外して壁に立てかけ、マットレスを敷いてシェルターを作り、ガラス瓶に水を詰め・・・
爆弾が炸裂し、死の灰が降り注ぐ中で夫婦は喧嘩したり励ましあったりしながら、数日を過ごします。
「きっと、助けに来てくれる。政府の言う事に間違いはない!」
最期の時まで政府を信じつつ。。。

じょうろを振り回していると、私のしている事は「お手製核シェルター」ほどに頼りないものかも・・・と心細くなります。
牧草の種をまく頃ですが、その牧草が伸びる頃、我が家の牛たちがここに居てくれるようにと強く強く思います。

  


Posted by てんとうむし at 02:53Comments(16)うし

2010年05月10日

牛のいる生活 その2

8日(土曜日)農協から手紙が届いた。
「口蹄疫ウイルスには、酸性の木酢液も有効と思われる。ついては、月曜日に無料にて配布するので おいで下さい・・・」との内容でした。
そして、農業新聞の記事のコピーまで・・・
ありがたいことです!

木酢液が良いんなら、竹酢液もいいはず・・・!
毎年竹の炭焼きをしていたから、竹酢液が残っています。それで、さっそく牛の運動場の周りに撒布。
竹酢液は取り扱いも簡単! 知っていたら、もっと早くやっていたのに。
100倍液をたっぷり作って、牛の体にもじょうろで掛けました。
(ウイルスはどこだ?)

近所の酪農家の方から「うちでは、サイレージにクエン酸を混ぜてる」と聞いたので、我が家流にアレンジ。 餌の青草に うすめたりんご酢をじょうろで掛けました。酢が美味しいのか、いつものようによく食べました。
(でも、ウイルスはどこだ?)

牛を竹酢液のプールで泳がせて、酢漬けの餌を食べさせたい心境です。
じょうろだけが増えました。。。

アルカリ性・・・酸性・・・消毒薬も増えました。。。

去年、マスク切れにまでなった新型インフルエンザ。。。大きなお店ではいまでも手指の消毒液が、店内に置いてあります。
でも、口蹄疫対策の靴底消毒用のマット等は、見かけません。
「人には感染しません」・・・全国ニュースにもならず、控えめな口蹄疫関連のニュースの後で、いつも繰り返されるセリフです。
この言葉を聞くたび、畜産農家と消費者が引き離されていくようで、寂しく思います。

(木城の役場や公共機関、農協には、靴底消毒用のマットが置いてあります。)  


Posted by てんとうむし at 01:35Comments(2)うし

2010年05月08日

牛のいる生活

この頃の日課。消毒液作りと撒布。
そして、毎日何度もチェックするのが 農水省のホームページ。
そこに、口蹄疫の発生状況が報告されています。マスコミの報道より早く。。。
今朝(7日)チェックして、24例目~35例目(後に43例目まで増えました)の報告を見て、全身から力が抜けるような感覚を覚えました。「1日で11件も!!」
うろたえつつ 近所の酪農家のお宅に電話。
「もしもし、農水省のホームページ見てる?」
「みてるよ~」と奥さんの声。
色々なことを話しました。
消毒のこと、外出のこと、マスコミの報道のしかた、その他の情報、などなど・・・
やれるだけの対策をとりつつ、すでに腹をくくった様子。
(私も見習おう・・・うろたえてる場合じゃない)

まだ少し雨が残っていましたが、消毒液を作りあちこちに撒布。
てんとうむし夫は、どうしても外せない用事のため宮崎市内に行き留守でした。

昨日から、新太の乳離れをしています。母親のみみこと新太の部屋を仕切って、新太がみみこのお乳を飲めないようにするのです。
本当は4月20日頃にするつもりでしたが、口蹄疫発生のショックですっかり遅れてしまいました。昨夜は母子でお互いを呼び合うように鳴いていました。
今日は、落ち着いています。

午後は、夫と牛小屋の堆肥出し。
3頭とも 新しい敷きわらに気持ち良さそうに寝そべっています。

夕方は、雨で流れた石灰の撒きなおし。
今日は、郵便受けを私道の入り口に持って行きました。

これで、郵便やさんまで、とおせんぼと言うわけです。。。


  


Posted by てんとうむし at 02:27Comments(6)うし

2010年04月06日

除角

除角。。。牛の角を切り落とす事です。

牛の角による、事故。 死亡事故のニュースや、新聞には載らなくても 大怪我や小怪我の話は、牛飼い仲間ではよく耳にします。牛を飼っていれば、誰でも多少、痛い思いや ヒヤッとした事はあるのかも・・・
私でさえ、あるのですから。

除角は、牛にとっても負担がかかる、とは思うのですが。 なので、ずっと躊躇っていましたが。。。
4月2日 我が家の みみことふゆこの除角をしました。
 

除角をお願いしたのは、ベテランの削蹄師さん。もちろん角切りもベテランです。
牛を固定するワクバを軽トラに積んで、お弟子さん3人と来て頂きました。
『4人がかり!やっぱり大変なんだ!』
削蹄師さんたちはにこやかに、私たちとも雑談しながら、準備を始めました。
除角をする農家が多くなったとの事。 あちこちから、頼まれて忙しそうです。

でも お弟子さんたちがバーベキューコンロで炭をおこし始めると。。。
『これから何が始まるんだろう…?』
勝手な想像をして怖くなったので、逃げるように裏庭の草むしりを始めました。
 
なので、それから先は一切見ていませんガーン
てんとうむし夫はずっと一緒に立ち会っていたので、どんな風にしたのかは 後で夫に聞きました。

牛をワクバに固定し 細いワイヤーを角にあて、根元から切っていくそうですタラーッ
2,3分で切り落とせるそうです。 少し血が出るので、炭で焼いたコテを傷口にあてて止血。消毒。

みみこもふゆこも その後普通に餌を食べていました。
案ずるより産むが易し・・・

角を切ったからと言って 100%安全ではないでしょうが、おかげで牛の世話がし易くなりました。
  


Posted by てんとうむし at 00:37Comments(7)うし

2010年03月24日

おもてと耳標

昨日(23日)は、子牛の新太に「耳標」を付ける日でした。
「子牛価格安定事業に加入している牛は、耳標の装着が義務」なのです。委託を受けた方が2人みえて子牛を確認の後、固体識別番号のついた黄色い札を、両耳に「カチリ」とつけます。
牛さんのピアス・・・のようなものです。 ほんの一瞬で済んでしまいますが。。。

そんな事、牛に説明しても解かってはもらえません。じっとしていてくれるはず・・・ありませんガーン

なので、その前日(22日) 新太に「おもて」を掛けました。(口元から、頭にまわす綱です)
「おもて」は牛をつなぐために、これからずっと必要になります。
でもそんな事、牛に説明しても・・・ガーン

てんとうむし夫が、「おもて」をもって子牛の部屋に。新太は 何が始まるか解からず、おびえてパニック。私は、パニックになった子牛が外へ飛び出さないように、部屋の外側からガードします。
まだ、4ヶ月にもなっていないのに新太は大きいタラーッ それに暴れるアセアセ
てんとうむし夫は、新太に2回足を踏まれた末 ようやく「おもて」をかけましたチョキ


さて、翌日の耳標装着。てんとうむし夫は新太に1回足を蹴られた末ようやくつかまえて、3人がかりで耳標の装着は終わりましたチョキ  


Posted by てんとうむし at 23:31Comments(4)うし

2009年12月10日

産まれました!

牛の出産予定日は 「3を引いて10を足す」 で計算できます。。。
うちの「みみこ」は、今年の2月14日に種付け(人工授精)したので、2月から3を引きます。
(2月を14月と考えて)14月-3=11月   14日+10=24日・・・なので、出産予定日は11月24日という事になりますgood 
出産となれば、夜には牛の見回り。。。  先月の20日頃から、毎晩 深夜の3時~4時に起きて 見回りを始めました。私かてんとうむし夫か・・・早く目が覚めたほうが、見回りを引き受けます。
目覚まし時計に起こされて、靴下を履き、ひざ掛けを身体に巻いて、懐中電灯を手に、牛小屋へ。。。 
「みみこ」はいつも (ま~だだよっ)という様子で、のんびり寝てました。  冬の見回りは、寒いっ大泣き  「ああ、今が夏ならば」と想いながら、また布団にもぐり込む毎日でした。  
それにしても、産まれないアセアセ  獣医さんに度々診察をしていただいて 母牛とお腹の子牛の無事を確認。 この頃の牛のお産は、予定日より遅れる傾向にあるようです。  予定日を十三日ほど過ぎた12月7日に 陣痛の起きる注射をしてもらいました。注射後24時間~36時間で、お産が始まるとの事。  なるほど、翌8日のよる7時すぎから お産が始まりました。
 「放っておいても産まれる」事も多いのでしょうが、 以前 私たちの判断ミスで 出産の時に子牛を死なせてしまったので、それからは かならず獣医さんに来ていただくようにしています。 獣医さんの 出産介助のテクニックを見られるチャンスです。。。
今回も手際よく介助していただき、夜の9時過ぎに 大きくて元気なオスの子牛が 無事産まれました拍手


朝一番の子牛ちゃんです。
 ぴょんぴょん跳ねてるところですが、小屋の中が暗くてうまく撮れませんでした。
 名前 考えなくては・・・ニコニコ  夜の見回りもこれで終り。明日から思い切り寝られそうです万歳


  

 

  


Posted by てんとうむし at 02:28Comments(4)うし